アナログ人間のAIアップデート論
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#18 過去4ヶ月で657回、映像制作の「判断」をAIに学ばせたらどうなったか?
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#18 過去4ヶ月で657回、映像制作の「判断」をAIに学ばせたらどうなったか?

「構成の型」を、「忘れていた渾身のナレーション」を、提案してきた

「この中から、一番自分らしいナレーションを10個挙げて」

自分が作ってきた映像作品のURLを、

Claude Codeに読み込ませて、こう頼んでみた。

僕自身は、10個も答えられない。

作った本人なのに、10分もらっても無理だと思う。

AIは、5分以内で出してきた。

30分以上ある映像作品のひとつから、

ランキング付きで10個。

読みながら、焦った。

間違いない。合っている。

これはかつて私が深夜に一人で頭を悩ませながら

採用したフレーズだ。


ナレーションは、誰も教えてくれない

今年の3月まで、福岡のテレビ局でディレクターをやっていた。

地方局の現場で、12年。

その12年間で、

ナレーションの書き方をしっかり教わることが、ほぼなかった。

完全独学。見て盗む。

VTRの半分、もしくはそれ以上、ナレーションで伝えているのに、

そのクオリティは完全に個人に属している。

言い換えればディレクターの個性そのものだ。

じゃあ、自分はどうなのか。

12年やって、自分の癖を言葉にしたことが、なかった。

野球ニュースの言い回しは、当時全局の野球ニュースを

2年間自力で文字起こしして、巨大なエクセルファイルを作ったが、

「胸を打つ、核心をついたいい感じのナレーション」は、

制作過程で出会えるかどうかの「運ゲー」だった。

しかも忘れていく。


自分の癖を、AIに教わった

出てきたのは、ナレーションだけじゃなかった。

インタビューの並べ方。

ナレーションとインタビューの比率。

文章がわかると、構成までわかる。

字幕の癖も言い当てられた。

白文字に、黒縁。画面中央の下。

発言のテロップは、内面が浮き彫りになる「決意」の部分にだけ付けている。

文章の核になる一部分だけ、色を変えている。

全部、言われて初めて「確かにそうしてる」と思った。

カットの長さも、喋り終わってから何秒で切っているかも、見ていた。

できないこともある。0.5秒(15フレーム)単位の正確なカットの尺はまだ測れない。グレーディング(色の調整)とBGMの曲名はお手上げ。

ただ、ここも時間の問題だと思う。

この時点で僕は鳥肌が止まらなかった。


脳から消える前に、取り出せ!

種明かしをすると、

この4ヶ月、地味なことをやり続けていた。

映像を見ながら、AIに喋りかける。

いいと思ったシーンを、なぜいいのかまで言って聞かせる。

誰が写っていて、何秒使いたくて、どれくらいの熱量で使いたいのか。

それを、657回。

AIが見ていたのは、映像だけじゃない。

657回分の、僕の判断だ。

過去自分がいたテレビの世界は「背中を見て盗め」で回る世界。

先輩の頭の中を、想像するしかなかった。

じゃあどこまで盗めたかと言われると、

自信はあるようで、ないかな、というのが正直なところ。

人間は忘れる。

30代でも、容赦無く。

前の番組でできていたことが、できなくなっていたりする。

僕の12年分も、僕が忘れた時点で消えるはずだった。

それが、取り出せたのである。

保管できて、次の仕事のときに、過去の自分が働いてくれる。


それ、AIに作らせて楽しいの?

引っかかりもある。

ナレーションを考えて頭を抱える時間は、この仕事の面白い部分でもあった。

それが一撃で出てくるようになって、嬉しさと同じぶんだけ、複雑だ。

ただ、ひとつだけはっきりしていることがある。

AIが出してくるナレーションの文言は、もともと僕が書いたものだ。

過去の自分の言葉から選ばれて出てくる。

だから、AI臭くならない。ここは大事なところ。

AIに創作させたんじゃない。

過去の自分の判断材料を、提示させただけだ。

クリエイティブに踏み込まれた、というより、

過去の自分に手伝ってもらっている感覚に近い。


やり方は一瞬で広まる。それでいい

このやり方は、多分すぐ広まる。一瞬だと思う。

調べてみたら、日本語でも英語でも、同じことをやっている人はまだ見つからなかった。

それでも、広まる。

あまりに手軽な革命だからだ。

手順で差はつかない。

差がつくのは、読み込ませる積み上げがあるかどうか。

積み上げた人間にしか、AIの便利さは享受されない。

アナログでしっかり作ってきた人、

自分の編集理念や哲学を持っている人ほど、AIで強くなる。

社長の判断も、職人の勘も、同じように取り出せる。

その価値に気づいている人と、僕は仕事がしたい。


話している人

内藤賢志郎(ないとう・けんしろう)

福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを行っています。

▼お仕事のご相談(映像制作/AI導入・活用の伴走/講演・研修)

K-studio のホームページはこちら


▼この番組について

「結果を残した人は、どう自分を更新し続けるのか。」

テレビ局で12年、スポーツ中継とドキュメンタリーを作ってきた映像ディレクター・内藤賢志郎が、アナログな現場仕事とAIのリアルな付き合い方を話す番組です。

#アナログ人間のAIアップデート論

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