アナログ人間のAIアップデート論
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#14 元Google×元テレビ局員「AIの本丸は、効率化じゃない」
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#14 元Google×元テレビ局員「AIの本丸は、効率化じゃない」

"自分の脳みそ"を覚えさせたら、世界が変わった

2回目のゲスト回。

高校野球部の同級生で、元Google、株式会社Bentenの青野紳三郎代表と、お互いのAIの使い方を話しました。

▼今回の聴きどころ(4トピック)

  • 「AIの本丸は、効率化じゃない」 元Googleが言い切った、本当のインパクト

  • 「俺の脳、8割再現できる?」とAIに聞いた  答えは”構成は7割、でもあと2年”

  • マイクを配るだけで、喋ったことが資料になる  資料づくりの徹夜が消える日

  • AIに渡せる8割と、渡せない2割  言語化できれば、仕事は人にもAIにも渡せる

  • 編集ソフトを自作した元テレビ局員 3ヶ月で657本、AIに”編集の型”を教え込んだ


記事はこちら

僕はテレビ局にいながら、

実は編集ソフトを、ちゃんと使いこなせていなかった。

自作の編集ツールに、一番驚いた

テレビ局で12年、映像を作ってきた。

でも白状すると、編集ソフトをちゃんと理解しないまま使っていた。

プレミアも、ダヴィンチも、必要最低限のボタンだけ。

「これで編集できればいいや」で、深く学ぶ気にもならなかった。

局にいたって、全部を完璧に把握しているディレクターなんてほぼいない。

だから、AIと映像制作を始めたとき、

最初に驚いたのはそこじゃなかった。

編集ソフトが、自分で作れたこと。

「え、何それ」。

プレミアを使う、しか発想がなかった僕が、

自分専用の編集ツールを作ってしまった。

ボタンの位置も、

欲しい機能も、

見にくいレイアウトも、

全部自分仕様に作り変えられる。

従来のソフトを使うときにずっと抱えていた不満が、

丸ごと消えた。

作業に入る前にまず、そこにビビった。


AIが「自分の型」を覚えて、構成を返してくる

次に驚いたのは、AIが僕の喋ったことを覚えていたこと。

映像素材を前に、僕はいつも独り言みたいに喋っている。

「このシーンがいい。こういう理由で。自分ならこの15秒から30秒を使いたい」。

編集ソフトでカタカタ抜き出しながら、その理由づけをずっと口に出す。

それを続けていたら、AIが学んできた。

「あなたはこういう思考だから、こう組み立てたらどうですか」と、

構成まで提案してくるようになった。しかも精度が高い。

映像制作で一番時間がかかるのは、構成を立てる作業だ。

バラバラの素材を、人が見られるレベルまで組み立てる。

これはセンスの一言で片付けられてきた部分で、

できない人は何年経ってもできない。

40歳になっても50歳になってもできない。

それを、AIが代わりにやってくる。

もちろんそのまま採用はしない。

「違う」「そこは違う」と言って、一緒に練り上げる。

こんな編集の形は、初めてだった。

効率化するつもりで始めたのに、気づいたら

「自分がどういう視点で編集していたか」が言語化されていくほうが、

楽しくなっていた。

良き理解者。

サポート役でも壁打ちでもなく、

自分の考えをすり込んで、そのプロセスごと真似てもらう。


8割再現できる日は来るのか、と聞いた

ClaudeCodeに聞いてみた。

「俺の脳みそ、どのくらい再現できてるの」

体感で、いまは2〜3割。

「じゃあ8割9割になる日は来るのか?」と聞いたら、

返ってきた答えは「ジャンルによる」だった。

構成を組み立てる部分「あなたならこう番組を作るだろう」は、

もう7割まで来ている。

でも、何の情報もない30分40分の素材から、

必要なシーンを秒単位で抜き出す部分は、あと2年かかる、と言われた。

なぜ2年なのか。

いまのAIは音声中心で拾っているから、

喋っていないけどいいシーンを見落とす。

なんてことないカットが文脈の中で生きてくる、伏線みたいなシーン。

それを拾うのは、まだ難しい。

でもそこは、人間が機微を察知する侘び寂びの部分だ。

だから人間がやるべきこと、渡すべきところじゃないように思う。

大量の素材から候補を絞り込むのはAIが得意で、

最後にいい悪いを選ぶのは人間。

どっちがいいかじゃなく、協業するといいものが生まれると

信じてやったほうが、きっといい。


PDF一枚で、出戻りが消える

もう一個、すごいと思ったことがある。

タイムラインに並べた映像クリップを、

AIが読み取って一発でPDFの構成資料にしてくれる。

何秒から何秒でこの内容、というのがズラーッと出る。

これがマジでデカい。

「今どんな感じで編集進んでるの?」。

ディレクターはいつも上からのこの言葉に怯えている。

プロデューサーなのか、クライアントなのか。

これまでは、出来上がった30分の映像を見てもらうか、

口で「こう繋いでます」と説明するか、どっちかしかなかった。

だから情報共有がうまくいかず、

蓋を開けたら「思ってたのと違う」とやり直しになる。

「なんでこのシーンが長いの」

「もっとこの人を立たせろよ」。

ざっくりしたダメ出しが返ってきて、やり直して、また時間がかかる。

この出戻りが、動画編集のロスの原因の一つだ。

何ターンもダメ出しが往復して、

最終的にディレクターが「これもう俺が作ったもんじゃねえな」で納品することも、普通にある。

秒単位の構成が先に共有できたら、それが減る。

これはみなさん、マジでおすすめ。

オフライン編集は、自分のPCに隠しておくものじゃない。

共有できる人に、さくっと共有して、もっと議論をするべきだ。


マイクを配れば、喋ったことがソフトになる

ここからは、青野さんの話。

元Google、いまはAIと会話ログの会社をやっている。

彼が「AIの本丸」と言ったのは、効率化じゃなかった。

「自分一人が効率化するかどうかって、

事業や組織のインパクトとしては正直少ない」。

そう言い切った。

本当にインパクトがあるのは、

これまでやりたくてもやれなかったことができるようになること。

たとえば、僕みたいなエンジニアじゃない人間が、自分専用のツールを作ってしまう。

「これできないんですか」と聞いて、

エンジニアと無駄なやり取りをして諦めていたことが、

チームとして実現できるようになる。

そしてもう一つ。事前に会話のログを拾えるマイクを配っておくだけで、

その人のやりたいことが文字になって、その文字がソフトになったり、

資料になったりする。そこが画期的と言う。


伝えたいことの、1割も伝えていない

僕自身はテレビ局時代、企画書や資料を作るのにたまに徹夜していた。

やりたいことは頭の中にあるのに、それを実現するために、

しっかりしたレイアウトの資料を作ることに忙殺される。

今思えばあれは、マジで意味がなかった。

その時間が、ゼロになる。

資料作成のスキルで評価が分かれることも、なくなる。

やりたいことを一行で言えば、背景も、自分がどういう人間かも、

AIが分かった上で企画書にしてくれる。

じゃあ、どうやってそこまで持っていくのか。

青野さんの答えはシンプルだった。LINE、Slack、音声デバイス。

普段の生活と仕事の中に録音を組み込んで、発言を文字にして貯めておく。

AIがそれをプロジェクト単位のフォルダに整理して、読み込む。

すると、自分が何者で、何を考えているかを、AIが分かっている状態が作れる。

そしてそれは、AIが勝手に創作した空想の文字じゃない。

血の通った、自分自身のDNAである。

大事なのは、自分が何者で、何を作りたくて、何をしたくないのか。

それを文字にしてAIに与えて、マークダウンで記憶させること。

1回の指示文でみんな面倒くさがってやらないけど、本当は過去に言ったことの中に、自分の考えは山ほど発露されている。人間はそれに気づきにくいだけ。

ある研究では、人はAIに伝えたいことの1割も伝えていないらしい。

だったら、残りの9割を埋めればいい。

僕はこの3ヶ月、毎日「これがいい、なぜなら」を喋り続けて、

その記録が657本溜まった。

それがディレクターとしての僕の個性で、AIの教科書になっている。

言語化した8割は、渡せる。

渡せない2割が、たぶん自分の値段になる。


▼ゲスト 青野さん(株式会社Benten/元Google) 会話ログ・コミュニケーションログを活かすAIの会社をやっています。青野さんへのお仕事のご相談はこちら

株式会社Benten(青野さんの会社)

▼話している人 内藤賢志郎(ないとう・けんしろう) 福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを

行っています。

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